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ケイスリー株式会社

社会的インパクト評価ツールに関するグローバル調査を実施

更新日:2020年10月7日

弊社は、内閣府の委託を受け、ICTを活用した社会的インパクト評価ツールに関する調査を実施し、このほど報告書が公開された。


○内閣府民間公益活動促進のための休眠預金等活用ホームページ


 社会的インパクト評価は、社会的事業の成果を「見える化」し、その成果向上への取組みを促進するものとして注目されている。また、社会的事業への資金の出し手である、行政や財団、投資家等がその成果を確認するために社会的インパクト評価を求める動きも広がっている。


 しかしこれまで、評価実施には、相応の追加的な時間や労力がかかること、専門的スキルが求められることなどが課題と言われてきた。そこで本調査では、ICTツールの活用が社会的インパクト評価推進の一助になるという仮説の下、世界各国で活用されているICTツールについて、その機能や特徴、使われ方などを整理した。また、それら情報を基に、関係者へのヒアリングも加え、日本への導入・普及に向けての課題と解決策をまとめた。


 調査対象のICTツールは、世界各国から洗い出したICTツール46件から、本調査の重視する観点で以下10件を抽出し、ウェブサイトの情報やヒアリングにより深堀した。




 一口に「ICTツール」と言っても、評価プロセスには、設計(ロジックモデル作成など)、データ収集・分析、報告など複数の段階があり、それらを広く網羅するものから、一部の段階に特化したものなど、その種類や特徴は様々である。それらから最適なものを選択し、有効に活用するためには、利用者自身が「なぜ評価をするのか」について明確な目的意識や動機を持つことの重要性が、ヒアリング対象者から繰り返し指摘された。その際、評価の結果を報告し、説明責任を果たすことに留まらず、結果から学び、次の改善につなげることが重要であり、その観点から、ユーザー同士が(成功も失敗も含めた)ケースを共有し、相互に学び合うことができる機能や仕組みの重要性も指摘された。


 本調査では、上記10件に加え、先進的なツールとして、(1)様々な社会課題にかかる公的費用の単価をデータベース化した「Unit Cost Database」、(2)定性的な言語情報の定量化を可能とする「Sensemaker」、(3)ブロックチェーン技術を用いて発展途上国の課題解決に取り組む「ixo foundation」の3つを取り上げ、コラムとして紹介している。


 本調査を通じて、世界には数多くの多種多様なICTツールが存在し、それらは特にデータに基づく評価において重要な役割を果たし得る一方、日本への導入・普及に当たっては、いくつかの課題があることが浮き彫りとなった。たとえば、(特に評価設計を)自力で実施できる団体が多くないこと、高機能なツールが多くICTツールに不慣れな団体には扱いづらいこと、費用負担が重くなりがちであることである。それらへの解決策には、ツールと並行して教育的コンテンツやサービスを利用しやすい価格で提供すること、評価指標の設定などに柔軟性を持たせること、技術的なサポート体制を整えること、価格を段階的にするなど柔軟に設定すること、などが挙げられる。


 日本ではまだ社会的インパクト評価においてICTを活用する動きは進んでいないが、ICT技術は日々進化を続けており、今後、日本での社会的インパクト評価の普及や質の向上に大きく貢献する可能性を秘めている。そもそも社会的インパクト評価自体が進んでいない日本において、「ICTツール以前に社会的インパクト評価の普及が先」という見方もあるが、ICTツールが人々の概念や行動を一変させることがあるように、ICTツールが社会的インパクト評価の推進をリードしていく可能性も否定できない。


 現在、社会的インパクト評価に関するグローバルな議論は、成果を可視化し、説明責任を果たすことを重視した「Impact Measurement」(社会的インパクトをどう正確に測定するか)から、評価プロセスからの学びや、結果に基づく事業改善を重視した「Impact Management」(社会的インパクトをどう可視化し、どう事業改善につなげるか)へと焦点が移行しつつある。そこでは、それぞれに異なる現場のリアリティをいかに拾い上げるかという個別性、柔軟性がより重要視される。


一方、社会的インパクト投資と結びついた評価においては、投資家への説明責任を果たすことが求められ、特に複数の事業を横並びで比較・評価したい意向を持つ資金の出し手にとっては、指標の共通化や評価手法の統一が重要なポイントとなる。


 このように、事業者の学び・改善のための評価と、社会的インパクト投資に絡む評価の間には一見溝があるように思われるが、「社会的インパクト拡大」というビジョンの基に、評価の在り方をつなげること、重ね合わせることは可能だと考えている。弊社は、今後もICTツールを含め、社会的インパクト評価をめぐるグローバルな動きを追いながら、投資家と事業者を繋ぎ、資金の効率的な流れと事業改善へ、そして社会的インパクト拡大へとつながる仕組みや環境づくりに貢献していきたい。



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